こどもの弱視で治療用メガネをつくった場合の
保険や助成金申請の方法とは?
- 2020.05.01
- HOW TO
スマホやタブレットに触れる機会が増えているこどもたちに心配されるのが目の健康。お子様の弱視や斜視などの治療用メガネの購入費用に保険が適用されるのをご存知でしょうか?
所定の手続きを行えば、加入している健康保険(国民健康保険、全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合など)からの療養費の支給や一部自治体から助成を受けることができます。
こどもの治療用メガネの助成を受けたいけど、申請方法がよくわからない…!
このお悩みを解決するべく、お子様の治療用メガネの助成について、適用の対象や必要な申請、受け取りまでの流れを詳しく解説。お子様の治療用メガネに関するよくある質問とともに、まとめてご紹介します。
#保険適用の対象は?
2006年(平成18年)4月1日から、お子様用の治療用メガネの購入に健康保険が適用されるようになりました。まずは保険適用の対象を見てみましょう。
保険適用の対象
■健康保険に加入している9歳未満の被扶養者(申請時に9歳未満であることが条件です)
※2020/5/1時点での情報です。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響による臨時的な取扱いについてはこちらをご覧ください。
支給対象
■小児の弱視、斜視及び先天白内障術後の屈折矯正の治療用として用いる眼鏡及びコンタクトレンズ
※一般的な視力補正用メガネは対象外です。
※斜視の矯正などに用いるアイパッチ及びフレネル膜プリズムも保険適用外です。
ポイントは「治療用のメガネ」という点です。一般的な視力補正用メガネは対象外ですので注意してくださいね。
※小児弱視等の治療用メガネに係る療養費の支給に関する厚生労働省からの詳しい通知内容はこちらをご覧ください。
※上限金額について、令和元年に一部変更になりました。詳しくはこちらをご覧ください。
※支給対象となる「弱視」にはさまざまな種類があります。
#保険で返ってくる上限金額は?
保険適用で支給される金額には、上限が設けられており、メガネの場合は38,902円となります。メガネの購入金額2パターンの例から、実際の自己負担分を詳しく見てみましょう。
まずは「メガネ代が支給上限額を下回った場合」から。例えば20,000円(税別)のメガネを購入した場合はどうなるのでしょうか。
保険支給額・・・14,000円(保険支給額内)
こども医療費助成額・・・6,000円(療養費内)
消費税・・・2,000円
20,000円のメガネを購入した場合、自己負担分は2,000円となります。
次に「メガネ代が支給上限額を上回った場合」。45,000円(税別)のメガネを購入した場合の自己負担はどうなるのでしょうか。
保険支給額・・・27,231円(保険支給額最大額)
こども医療費助成額・・・11,671円(療養費最大額)
自己負担額・・・6,098円(メガネ購入費から保険支給額とこども医療費助成額を引いた金額)
消費税・・・4,500円
45,000円のメガネを購入した場合、自己負担額6,098円と消費税4,500円を合わせた10,598円が実質の自己負担分になります。
※購入時の年齢に応じて割合が異なります
※消費税は自己負担となります。
※こども医療費助成の制度は、自治体により異なります。詳しくはお住まいの自治体窓口にお問い合わせください。
なお、保険適用で支給される上限金額は令和元年10月1日に一部が改正されました。現在の上限金額は次のようになります。
改正前(令和元年9月30日まで)
「メガネ(36,700円)」「コンタクトレンズ(15,400円/1枚)」×1.048を上限
例)メガネだと38,461円、コンタクトレンズだと16,139円が上限金額
改正後(令和元年10月1日以降)
メガネだと38,902円、コンタクトレンズだと16,324円が上限金額
#保険適用に必要な書類は?
次に、保険適用の申請に必要な書類について解説します。
1.治療用メガネ等の作成指示書
治療用メガネの作成指示を受けたことを証明する眼科医が作成した指示書(処方箋)の写しです。
2.検査結果が分かる資料
こどもの視力など、検査結果がわかる資料です。(※1の作成指示書に検査結果の記載があれば不要です。)
3.治療用メガネ購入時の領収書
治療用のメガネを購入した店舗で領収書を発行してもらいましょう。
領収書には以下の記載が必要です。
■金額・・・税込みの購入金額
■宛名・・・お子様ご本人の氏名
■但し書き・・・「弱視治療用眼鏡代金(フレーム○○円、レンズ○○円)」など具体的に記入
※原本は提出しますので、必ずコピーを取っておきましょう。
4.療養費支給申請書
ご加入の保険機関(国民健康保険、全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合など)が発行している申請書です。必要事項を記入して提出します。
以上の必要書類等をそろえて、加入している健康保険の窓口へ提出しましょう。その際、振込先口座番号、捺印のための印鑑、健康保険証も忘れないようにしてください。
申請が受理されると、後日保険組合より「支給決定通知」が届き、通知書に記載された支給決定金額が指定の口座に振り込まれます。
なお、「治療用眼鏡等の作成指示書」と「領収書」のコピーは、各自治体のこども医療費助成の申請にも必要なので、失くさないようにしましょう。
#自治体からの助成金受け取り方法は?
自治体からの助成金は、お住まいの市区町村によって変わります。自己負担金額や対応も異なりますので、何を補助してくれるのか、公式サイトでチェックをしておくと手続きもスムーズになるでしょう。また、治療用メガネの修理や2本目の作成も、助成の対象になる場合とならない場合がありますので、疑問に思ったら自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
助成金の申請に必要な書類は、記入漏れや提出漏れがないか、必ず確認をすること。自治体ごとの対応や助成金の申請期限もありますので、この確認も忘れないようにしてくださいね。
#治療を目的としたこども用のメガネに関する
よくある質問
健康保険組合の療養費や各自治体からの助成金で、治療を目的としたこども用のメガネをつくる場合、申請するときに出てくるさまざまな疑問についてまとめてみました。
Q.国民保険と社会保険で負担額は違うの?
A.国民健康保険と社会保険(健康保険)、どちらも保険対象になる条件や負担額は同じです。
Q.治療を目的としたこども用のメガネは医療費控除される?
A.保険対象(国民健康保険や社会保険)であれば、医療費控除の対象にもなります。
Q.治療を目的としたこども用メガネは申請が通れば何回でも作成できるの?
A.条件により申請できるケースもありますが、治療目的だからといって何度もメガネがつくれるわけではありません。メガネが壊れたら再助成ができる保証はないので、メガネ店の保証書は失くさないよう大切に保管しておきましょう。
5歳未満 ‥‥ 装着期間が1年以上経っていれば再申請できます。
5歳以上 ‥‥ 装着期間が2年以上経っていれば再申請できます。
Q.治療を目的としたこども用メガネのスペアをつくりたい場合は?
A.保険適用や自治体の助成を申請できるメガネは必要な一本のみです。スペアなどは対象外となります。
Q.治療を目的としたこども用メガネのケースは対象に入る?
A.メガネケースなど、メガネ以外の物は対象外です。
まとめ
こどもの治療用メガネの保険や助成金申請の方法から受け取りまでの流れを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。最後にこれまでの要点をまとめます。
■保険適用の対象は健康保険に加入している9歳未満の被扶養者
■支給対象は小児の弱視、斜視及び先天白内障術後の屈折矯正の治療用として用いる眼鏡及びコンタクトレンズ
■こども用メガネの保険や助成を受けるには「ご加入の保険機関」「お住まいの自治体」2カ所に申請が必要
■支給を受けられる上限金額は38,902円(保険適用は上限金額のうち7割または8割、自治体の医療助成制度は3割または2割)
■申請に必要な書類は「治療用メガネ等の作成指示書(検査結果含む)」「治療用メガネ購入時の領収書」「療養費支給申請書」
■自治体からの助成金受け取りは、お住まいの自治体窓口に問い合わせる
申請から支給までの決定には時間がかかりますので、正しい情報を取り入れた上で、早めの手続きがおすすめです。申請するにあたりわからない事は、加入している健康保険やお住まいの自治体に相談してみましょう。ぜひ、参考にしてくださいね。
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